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退職代行で損害賠償を請求される?認められない原則と例外を解説

退職代行の利用を考えたとき、「会社を辞めたら損害賠償を請求されるのではないか」「上司から訴えると言われていて怖い」と、強い不安を感じている方は少なくありません。退職の話をした途端に会社から厳しい言葉を投げかけられ、それを真に受けて身動きが取れなくなってしまう——そんな状況は、決して珍しいものではありません。

では、退職代行を使うと、本当に損害賠償を請求されてしまうのでしょうか。この記事では、まず「原則として請求されないと考えられる理由」を法律にもとづいて整理します。そのうえで、例外的に争点になりうるケースと、会社の脅し文句と法的な現実の違いを冷静に見ていきます。最後に、不安が消えないときの相談先もお伝えします。

この記事で分かること:①退職代行の利用自体で損害賠償が認められにくい理由、②例外的に争点になりうるケース、③脅し文句と法的現実の違い、④困ったときの相談先。
この記事の結論

労働者には退職の自由があり(民法627条)、退職代行を使って辞めたこと自体を理由に損害賠償が認められるケースは、一般的には考えにくいとされています。ただし、突然の引き継ぎ放棄で実際の損害が出た特殊なケースや、貸与品の無断持ち出しなどは例外的に争点になりうるため、最低限の対応は押さえておくと安心です。

627
退職の自由を定める民法
原則×
利用自体での請求は考えにくい
例外あり
実損・無断持ち出し等は注意

上司から「途中で辞めたら損害賠償だからな」って言われていて…正直、それが本当なのか怖くて眠れないんです。退職代行を使ったら本当に請求されるんでしょうか?

その不安、よく分かります。結論から言うと、退職代行を使って辞めたこと自体で損害賠償が認められるのは、一般的には考えにくいんです。まず、その理由を法律から整理していきましょう。

目次

そもそも退職代行を使うと損害賠償を請求されるのでしょうか?

結論から言うと、退職代行を使って退職したこと自体を理由に損害賠償が認められるケースは、一般的には考えにくいとされています。労働者には法律で退職の自由が認められているためです。

損害賠償とは、相手の行為によって生じた損害を金銭で埋め合わせるよう求めることです。請求が認められるためには、原則として「違法な行為」と「実際に生じた損害」、そしてその間の因果関係が必要になります。単に「退職代行を使って辞めた」というだけでは、この条件を満たすとは考えにくいのです。

会社が「辞めたら損害賠償だ」と口にすることはあっても、それがそのまま裁判で認められるわけではありません。脅し文句として言われている場合も多く、言葉の強さと法的な現実は分けて考えることが大切です。次の章で、その根拠となる「退職の自由」を見ていきます。

ここがポイント

損害賠償が認められるには「違法な行為」と「実際の損害」が必要です。退職代行を使って辞めたこと自体は、通常これに当たらないと考えられます。

退職の自由(民法627条)は、どのように私たちを守っているのでしょうか?

退職代行を使う・使わないにかかわらず、労働者には退職の自由があります。これが、損害賠償が原則として認められにくい一番の理由です。

期間の定めのない雇用契約では、労働者はいつでも退職を申し入れることができ、申し入れの日から一定期間(民法上は原則2週間)が経過すれば雇用契約は終了するとされています。これが民法第627条(e-Gov法令検索)の定める退職の自由です。つまり、辞めること自体は法律で認められた正当な権利であり、その権利を使ったことが「違法な行為」になるとは考えにくいのです。

退職代行は、本人に代わって会社へ退職の意思を伝えるサービスです。伝える手段が本人か代行かで、退職の自由そのものが変わるわけではありません。代行を使ったからといって、辞め方が違法になるわけではない、という点を押さえておきましょう。

退職は労働者に認められた正当な権利です。退職代行は「伝え方」を代わってもらうサービスであり、辞める権利そのものを左右するものではありません。

でも、僕が抜けたら現場が回らなくなるって言われていて…「お前のせいで損害が出た」って後から請求されたりしないか、それも不安なんです。

そこは多くの方が気にされる点です。実は、一人が辞めて現場が忙しくなったという理由だけで損害が認められるのは、なかなか難しいんです。人員の補充や調整は、本来は会社側の責任とされているからですね。

突然の引き継ぎ放棄や貸与品の扱いは、例外として争点になりうる

原則として請求は認められにくい一方で、例外的に争点になりうるケースもあります。代表的なのが、突然の引き継ぎ放棄で実際の損害が出た特殊なケースと、会社の貸与品を無断で持ち出したままにしているケースです。

たとえば、自分しか対応できない重要な業務を、引き継ぎも連絡もなく突然投げ出し、それによって会社に明確で具体的な損害が生じた——というような特殊な状況では、理論上は損害賠償が問題になりうるとされています。ただし、こうしたケースは限定的で、実際に認められるハードルは高いと考えられています。一般的な退職で、ここまでに当てはまることはほとんどありません。

もう一つは、会社から貸与されているもの(社用パソコン、制服、社員証、貸与スマホなど)を返さずに持ち出したままにしているケースです。これは退職そのものの問題ではなく、物の返却の問題として争点になりえます。逆に言えば、返すべきものを返しておけば、この心配は避けられます。

原則:請求は認められにくい
  • 退職代行を使って辞めたこと自体
  • 一人辞めて現場が忙しくなったこと
  • 退職の時期が会社の希望と違うこと
例外:争点になりうる
  • 突然の引き継ぎ放棄で具体的な実損が出た特殊なケース
  • 貸与品を無断で持ち出したままにしている
  • 故意に会社へ損害を与えた行為がある

ここで強調しておきたいのは、会社の「訴えるぞ」という脅し文句と、法的に請求が認められるかどうかは、別の話だということです。脅し文句は引き止めの手段として使われることがありますが、実際に賠償が認められるには前述の条件が必要です。言葉の強さに飲み込まれず、自分のケースが例外に当たるのかを冷静に確認することが、不安を小さくする第一歩になります。

請求されないために、辞める前にできる準備は何でしょうか?

例外的なトラブルを避けるためにできる準備は、それほど多くありません。要点は「返すものを返す」「最低限の引き継ぎ情報を残す」「やり取りの記録を残す」の3つです。順番に整理していきましょう。

STEP
貸与品をまとめて返却できるようにする

社用パソコン、制服、社員証、鍵、貸与スマホなどを手元で確認します。多くの場合、退職後に郵送で返却できます。返すべきものを返しておくことで、貸与品をめぐる争点を避けられます。

STEP
最低限の引き継ぎ情報を残す

進行中の案件や担当業務について、分かる範囲をメモやメールで共有できるようにしておきます。完璧な引き継ぎは不要ですが、「何も伝えず突然放棄した」という状況を避けておくと安心です。

STEP
やり取りの記録を残す

「損害賠償する」などと言われた場合は、その言葉が分かるメールやメッセージ、日時のメモを残しておきます。後から相談する際に、状況を正確に伝える材料になります。

辞める前に確認しておきたいこと
  • 会社から借りているものをすべて把握しているか
  • 進行中の業務を簡単にでも書き出せるか
  • 会社からの脅し文句やメールを記録しているか
  • 不安な点を相談できる窓口を知っているか

もし会社が本気で「損害賠償の手続きを取る」と言ってきたら、僕一人でどう対応すればいいのか分からなくて…そういうときって、どうしたらいいんですか?

そういうときは、一人で抱え込まないことが大事です。実際に損害賠償の話が出ている場合は、弁護士や公的な相談窓口を頼るのが安心ですよ。次の章で相談先を整理しますね。

自分で対応するのが難しいときの相談先と退職代行という選択肢

損害賠償をちらつかされて自分では対応が難しいと感じるときは、無理に一人で判断せず、専門の相談先を頼るのが安心です。退職代行も選択肢の一つになりますが、法的なトラブルを含む場合は対応できる種別が限られる点に注意が必要です。

まず、労働条件やハラスメントを含む不安があるなら、各都道府県の労働局や労働基準監督署の総合労働相談コーナーに相談できる場合があります。一方、実際に損害賠償をほのめかされている、未払い賃金があるなど法的なトラブルがはっきりしている場合は、弁護士への相談が安心です。

民間型

会社への退職意思の連絡・伝達を中心に行います。退職日や有給消化などの交渉や、損害賠償などの法的対応はできません。連絡・伝達

労働組合型

団体交渉権にもとづき、退職日や有給消化などの交渉に対応できる場合があります。損害賠償などの法的対応は範囲外です。交渉対応

弁護士型

交渉に加え、損害賠償をちらつかされている場合などの法的トラブルの相談・対応も可能です。法的対応

公的な相談窓口

労働条件やハラスメントなどについて、総合労働相談コーナーなどの公的機関に相談できる場合があります。まず状況を整理したいときに向いています。

退職代行を使う場合、損害賠償をめぐる不安が中心であれば、法的対応ができる弁護士型を選ぶのが安心です。民間型や労働組合型は損害賠償などの法的対応の範囲外となるため、「脅し文句が怖い」という今のあなたの状況には、弁護士型が向いていると言えます。

会社から損害賠償をほのめかされている、未払い賃金や会社との揉めごとがあるといった場合は、弁護士型のサービスも選択肢になります。下記は選択肢の一例です。対応範囲や料金は変わることがあるため、相談時に必ず確認してください。

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※相談内容や対応範囲はサービスにより異なります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

まず押さえたいポイント

退職代行を使って辞めたこと自体での損害賠償は、原則として認められにくいと考えられます。返すものを返し、最低限の引き継ぎ情報を残しておけば、例外的なトラブルもかなり避けられます。実際に賠償を持ち出されたら、一人で抱えず弁護士や公的窓口に相談してください。

よくある不安・相談前によくある疑問(FAQ)

退職代行を使うと、会社から損害賠償を請求されますか?

退職代行を使って辞めたこと自体を理由に損害賠償が認められるケースは、一般的には考えにくいとされています。労働者には退職の自由(民法627条)があるためです。ただし、突然の引き継ぎ放棄で実損が出た特殊なケースなどは例外的に争点になりうるため、最低限の準備はしておくと安心です。

「お前が辞めたら損害賠償だ」と言われました。本当に請求されますか?

そうした言葉が、そのまま裁判で認められるわけではありません。引き止めの脅し文句として使われることも多く、実際に賠償が認められるには「違法な行為」と「具体的な損害」が必要とされています。言葉に飲み込まれず、不安なら言われた内容を記録し、弁護士や公的窓口に相談すると安心です。

引き継ぎをせずに辞めたら、損害賠償の対象になりますか?

引き継ぎをしなかったというだけで損害賠償が認められるのは、一般的には難しいとされています。ただし、自分しか対応できない業務を突然放棄し、会社に明確で具体的な損害が生じた特殊なケースでは争点になりえます。分かる範囲でメモを残しておくと、こうした心配を避けやすくなります。

損害賠償が不安なとき、どの退職代行を選べばいいですか?

損害賠償などの法的トラブルが関わる場合は、法的対応ができる弁護士型が選択肢になります。民間型や労働組合型は損害賠償などの法的対応は範囲外となるため、脅し文句が現実味を帯びているケースでは弁護士型や弁護士への相談が安心です。

出典:民法第627条(e-Gov法令検索)/厚生労働省「総合労働相談コーナー」関連ページほか

ご利用にあたって 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。個別の事情については、弁護士・労働基準監督署などの公的窓口にご相談ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。
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ゆう|「辞め方のトリセツ」編集長
退職前後の不安・手続き・相談先を整理する情報メディア運営者
「辞めたいけど言えない」と立ち止まった経験から、このサイトを始めました。弁護士・社会保険労務士ではありませんが、厚生労働省・e-Gov法令検索などの公的情報、専門家の公開情報、各サービスの公式情報を確認しながら、退職に悩む人が自分の状況を整理しやすいように発信しています。
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